ウズベキスタン旅行記

サマルカンド編 A

  エルキンと再会

  エルキンが指定した時間は午前10時なので、サマルカンドでも朝の散歩に行く。道を歩くと道路の掃除をしている人がやたらと多い。タシケントでもそうだったが、この街の掃除熱はさらにすごく、朝から夕方まで常に誰かが道路掃除をしている。(勝手な推測だが、砂漠の国なので年中掃除をしていないと街が砂に埋もれてしまうのではないかと思う)一度ホテルに帰って朝食をとり、約束の時間にレギスタン広場へと向かうと、彼はすでに待っていた。半日だけのプランを持ちかけ、午後2時まで共に行動する、ということで話をまとめる。最初に、ベルトの売っている店を案内してもらう。実はズボンがゆるく、ウズベク入国後、数歩歩いては下がる、の繰り返しだった。適当な柄を選び購入。2000スムだった。早速ズボンに通すが、穴が足りないので店員にあけてもらう。そのあと、食堂のようなところでジュースを飲む。コーラの小瓶2本で800スム。店内ではエルキンとお互いの国のことを語り合った。彼と共に行動すると決めたときに、ひとつだけ聞いてみたいことがあった。それは、ソヴィエト連邦時代のことで、(ウズベキスタンは、ウズベク・ソヴィエト社会主義共和国として、ソ連を構成する15の共和国の1つだった)ソ連崩壊当時に11歳だった彼は、少年ながら記憶に残っているわけで、どのように将来を思い、10年以上経った今、どのようにこの国が変わったのか、ということを聞いてみたかった。しかし彼は、今の方がいいです、と、ひとことだけ言って話をかえてしまった。

  市民の足 

 店を出た後、エルキンがウルグベク天文台に行こうと言ってきた。観光名所は自分で行くつもりだったが、ウズベキスタンの歴史を説明するにはいい場所、というので案内してもらうことに。歩くと30分くらいかかるらしいので路線タクシーを待つ。これは、現地の人が日常的に利用している交通手段で全路線、距離に関係なく100スム。3列シートの軽ワンボックス車に無理やり10人乗り込む。どうみても1歳に満たない赤ちゃんが母親に抱えられて、店員オーバーの車内で押しつぶされ気味。母親は、背中を丸め、両腕で精一杯我が子を守ってはいるが、あくまでも日常の1コマという感じ。こんな環境で育った子はきっとたくましくなるだろう。猛スピードの路線タクシーは、3分程度でウルグベク天文台に着く。ウルグベクはティームールの孫で3代目の王だが、彼は権力者としてより天文学者として知られ、学問の普及に大きく力を注いだという。敷地内は天文台跡のほかに中央アジアを始めとするシルクロードの歴史を、絵や写真で紹介する資料館があり、それらを使ってエルキンは解説してくれた。ティムール帝国や、シルクロード貿易は日本の歴史教育の中でも登場すると伝えたら、エルキンはとっても嬉しそうだった。

  警官の小遣い稼ぎ

 午後2時、お腹が空いてきたので食堂へ行く。俺はプロフ(中央アジア全域に見られるピラフの一種)とビール、エルキンはマントゥ4個とコーラ2本、それから2人でサラダ2種類とナン1枚、お茶もポットで注文したが、ちょっと食べきれなかった。約束どおり昼食代は出したけれど、2人で8000スム(800円程度)だった。食事後エルキンと別れたが、彼は現役大学生でいろいろなことを学んでいて、ガイドとしては申し分なく、1時間1ドル×5時間分の謝礼を渡した。1人になった後、ガイドブックを見ながら寺院まわり。日が落ちかけた頃、夕日をバックにしたイスラム建築の写真を撮ろうと三脚を立てて意気込んでいたら、警備中の警官が近寄って来て、5ドルでミナレット(イスラムの塔、本当なら立ち入り禁止だが、鍵を持っている警官が金稼ぎに利用している)に登らせてやる、と言ってきた。あまり興味が無いので断ったが、あまりにも熱心に誘うので財布を出して(中身は見せない)1ドルしか持っていない、と言ったら2ドルでいいと値段が下がった。本当に興味が無いので、じゃあ行かない、と言って去ろうとしたら、待ってくれよ、1ドルでいいから、と追いかけてきた。1ドルならいいかなと思い、ミナレットに登ることにした。その警官に入り口まで案内され、懐中電灯を借りて登りはじめたが見た目以上に高く、5分ほどで塔の最上部に着いたときにはひと汗かいていた。5分かけて登ったので、塔からの眺めはさすがに良かったが、自分がイスラム建築に登っているせいで、遠くに荒涼とした丘が見えるほかは特に感動は無く、そうしている間にも夕景のシャッターチャンスは過ぎていき、時間を損した気分になった。とっとと降りて夜景の撮影をした後、ホテルへ戻る。前日に買いすぎたサマルカンドビールを飲むが、1日経ってもマズさに変わりはなかった。


シャーヒズィンダ廟群 サマルカンド旧市街
シャーヒズィンダ廟群はティムール
ゆかりのひと達の霊廟が建ち並ぶ。
入り口にある、通称”天国への階段”
旧市街は、細く入り組み、この地方
独特の民家が並ぶ。迷子になって
みるのもまた、楽しい。
バザールのスイカ売り場 サマルカンドのナン
バザールでは、同じものを売る店が集まり、一角
を形成しているので、とてもわかりやすく、買い手
にはありがたい。
ナンといえばサマルカンド、といわれるほどサマ
ルカンドのナンは有名らしい。
サマルカンドの午後 グリ・アミール廟
日陰のベンチは、友達同士や恋人達のおしゃべ
りに花が咲き、ゆったりと時が流れる。
夜のグリ・アミール廟。ライトアップされてゴージャ
スな印象。


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